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ユニコーン企業とは?世界のトレンドと日本の現状をわかりやすく解説!

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昨今、政府がベンチャー・スタートアップ支援に注力するなど、今後スタートアップ企業によるイノベーションの加速が期待されています。

ベンチャー企業に注目が集まる中で、最近『ユニコーン企業』というワードをよく耳にしますが、ベンチャー界隈は横文字が多くてよくわからないという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は

  • ユニコーン企業とは何かを知りたい方
  • 世界のユニコーン企業のトレンドを知りたい方
  • 日本にはどんなユニコーン企業があるか知りたい方

を対象にユニコーン企業について解説します

この記事を読めば、ユニコーン企業の定義、国別のユニコーン企業数、分野別のユニコーン企業数、世界のユニコーン企業Top30の事業概要、日本のユニコーン企業の事業概要と現状がわかります。

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ユニコーン企業とは

ユニコーン企業とは、

  1. 評価額が10億ドル以上(約1,000億円)
  2. 未上場
  3. 創業10年以内

といった3つの条件を満たすベンチャー企業を指します。

ただし、日本では創業10年以上でも、未上場かつ評価額1,000億円以上ならユニコーン企業と言われる場合もあり、定義は曖昧です。

フリマアプリの「メルカリ」もかつてのユニコーン企業でしたが、上場したため定義から外れました。

なお、ユニコーンのさらに先で「デカコーン:評価額100億ドル以上」、「ヘクトコーン:評価額1,000ドル」といった企業も存在します。

ギリシャ神話に出てくる幻の一角獣「ユニコーン」が由来です。

ユニコーンよりさらに大きい「デカコーン」・「ヘクトコーン」

ユニコーンよりさらに大きい評価額となった企業は「デカコーン」「ヘクトコーン」と呼ばれ、以下のような分類になります。

データ引用元:The Complete List Of Unicorn Companies (cbinsights.com)(2023年3月データより)

この調査では世界のユニコーン企業は1207社、そのうちデカコーン3社、ヘクトコーン0社となっています。

デカコーン3社はTikTokで有名なByteDance(中)、イーロンマスクによって設立された宇宙開発企業SpaceX(米)、オンラインファッションストアのSHEIN(中)であり、ここでも中国の躍進ぶりが目立っています。

国別のユニコーン企業数

では、国別にユニコーン企業数をまとめた以下のデータを見ていきましょう。

データ引用元:The Complete List Of Unicorn Companies (cbinsights.com)(2023年3月データより)

1位アメリカ:655社、2位中国:168社、3位インド:71社となっており、上位3か国で全体の74%(894社)を占めています。

ここでもアメリカや中国の凄さが目立っていますが、インド・イスラエル・シンガポールなどアジア諸国が食い込んできているのも面白い点です。

数年後にこのグラフがどのように変化していくかも楽しみなところです。

分野別のユニコーン企業数

ここではトレンドを理解するために分野別のユニコーン企業数のデータを見ていきましょう。

データ引用元:The Complete List Of Unicorn Companies (cbinsights.com)(2023年3月データより)

分野社数比率
Fintech25421.0%
Internet software & services22919.0%
E-commerce & direct-to-consumer1099.0%
Health968.0%
Artificial intelligence917.5%
Supply chain, logistics, & delivery665.5%
Cybersecurity584.8%
Data management & analytics453.7%
Hardware403.3%
Mobile & telecommunications403.3%
Auto & transportation352.9%
Edtech312.6%
Consumer & retail302.5%
Travel141.2%
Other695.7%

データ引用元:The Complete List Of Unicorn Companies (cbinsights.com)(2023年3月データより)

分野別にみれば、フィンテック(21%)、ITソフト&サービス(19%)、EC/D2C(9%)、健康分野(8%)、AI(7.5%)といった5つの分野で上位約60%を占めています。

ITやAIはもちろんのこと、フィンテック分野が最上位にあることは暗号資産や電子マネーなどお金に関する変革の時代であることを象徴しています。

世界のユニコーン企業ランキングTOP30

国や分野ごとのトレンドを理解できたところで、世界のトップユニコーン企業がどのような事業を展開しているか見てみましょう。ここでは世界のユニコーン企業TOP30についてまとめています。

会社名事業概要
ByteDance中国TikTokが有名なAI技術を活用したオンラインプラットフォームを提供するテック企業。
SpaceX米国イーロンマスクが設立した宇宙開発企業
SHEIN中国オンラインショッピングプラットフォーム
Stripe米国アプリ開発者が簡単に支払い処理できるオンライン決済プラットフォーム
Checkout.comイギリス様々な決済手段に対応したオンライン決済プラットフォーム
Canvaオーストラリアクラウド上で使えるデザインプラットフォーム
Revolutイギリススマホでグローバルな送金・決済が可能なフィンテック企業
Epic Games米国人気ゲーム「フォートナイト」などのゲーム開発
Fanatics米国スポーツ関連グッズを販売するアパレル企業
Databricks米国クラウド上で動作するデータ分析基盤の提供
Chime米国手数料のない送金など低コストで利便性の高いフィンテックサービス
BYJU’sインドオンライン学習プラットオームのエドテック企業
J&T Expressインドネシアインターネットで簡単な荷物発送や追跡が可能な物流サービス
Xiaohongshu中国ファッションや美容のトレンド情報を共有やオンラインショッピングプラットフォーム機能を持つSNSアプリ
OpenAI米国AIが文章生成してくれるCpat GPTの提供
Miro米国デジタルホワイドボードなどリモートワークの効率化ソフトウェア
Yuanfudao中国学生向けのAIを活用したオンライン学習プラットフォーム
Ripple米国ブロックチェーン技術による国際送金を高速かつ低コスト化
Yuanqi Senlin中国オンラインゲームやデジタルエンタメコンテンツの制作
goPuff米国食品・日用品などの即日配達サービス
Discord米国ゲーマー向けのボイスチャット、テキストチャット、ビデオチャット、コミュニティ管理機能を備えたソーシャルプラットフォーム
DJI Innovations中国ドローンの開発製造
Blockchain.comイギリスビットコインなど暗号資産の取引所
Plaid米国銀行やクレジットカードのデータ情報共有APIプラットフォーム
OpenSea米国NFTのトレードプラットフォーム
Grammarly米国AIによる文法・スペル・文章校正サービス
Celonisドイツ顧客のビジネスプロセスの分析と最適化するソフトウェアの提供
Devoted Health米国高齢者に特化した健康保険を提供するヘルステック企業
Faire米国AIを活用した小売店とメーカーのためのオンライン市場の提供
Brex米国中小企業に特化した金融サービス

データ引用元:The Complete List Of Unicorn Companies (cbinsights.com)(2023年3月データより)

このランキングからも宇宙開発・暗号資産・NFT・EdTechなど様々なサービスが世界で生まれていることがよくわかりますね

日本のユニコーン企業(評価額ランキング順)

世界のユニコーン企業ランキングに日本企業の名前が出てこないのは非常に寂しいですが、日本にも徐々にユニコーン企業は誕生しています。

そのためここからはいよいよ日本のユニコーン企業全を紹介していきます。

なお、このデータはfor startups社が2023年1月に公開した国内スタートアップ評価額ランキングから評価額1000億円を超える企業をまとめたものです。(引用先→リンク

Preferred Networks(評価額:3,539億円)

公式HPより

Preferred Networksは、多くのデータを用いて精度を上げていく深層学習などを得意とする、AI業界においては日本を代表する企業です。

深層学習とロボティクス技術を生かして様々な企業と連携しながら、産業用ロボットの高度化や自動運転の技術開発など時代の最先端の研究開発を行っています。

ADVASA(評価額:2,301億円)

公式HPより

ADVASAは、勤怠システムと連動して、働いた分の給与を立替型前払いとしていつでも受け取れる福利厚生ペイメントシステム『FUKUPE』を提供しています。

 

FUKUPEは、あらゆる決済手段にチャージできるプラットフォームであり、ブロックチェーン技術を組み合わせて貧困課題の解決、金融包摂の実現を目指しています。

また、積極的に知財戦略にも取り組んでおり、日本・米国・韓国・シンガポールなどで特許を取得し、海外展開を進めています。

GVE(評価額:2,245億円)

公式HPより

GVEは、各国の中央銀行が発行するデジタル通貨による即時支払いを可能とするEXCプラットフォームを開発する会社です。

CBCDというデジタル通貨の進展に伴い、日本の銀行に口座があれば、スマホだけで高額な手数料なしに世界中で買い物ができる世界を目指しています。

スマートニュース(評価額:2,004億円)

公式HPより

スマートニュースは、情報発信アプリ「SmartNews」を運営する会社です。

smartNewsは「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」というビジョンのもと、3000社を超えるメディアの情報が無料で閲覧できます。

SmartHR(評価額:1,732億円)

公式HPより

SmartHRは、人事・労務の業務効率化を実現し、働くすべての人の生産性向上を支えるクラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供するベンチャー企業です。

  • 入社手続きや年末調整などの多様な労務手続きをペーパーレス化し、データとして蓄積
  • 勤怠や給与計算システム等との連携により、様々なデータの一元管理も可能
  • 蓄積した従業員データを活用できる人材マネジメント機能により、働きたい職場環境の創出に貢献

TRIPLE-1(評価額:1,650億円)

公式HPより

TRIPLE-1は、時代の最先端プロセスを採用したASIC(半導体集積回路)を開発する会社です。

最先端7nmプロセスを採用したBitcoinマイニング用ASICと5nmプロセスを採用したディープラーニング向けのAIプロセッサの開発に成功しています。

スリーダムアライアンス(評価額:1,527億円)

公式HPより

スリーダムアライアンスは、独自の3DOMセパレータ技術を強みに次世代電池を開発するベンチャー企業です。

モーター・燃料電池の要素技術も開発し、移動体の電動化と交通/エネルギー/生活インフラにおけるエネルギーの最適化を目指しています。

クリーンプラネット(評価額:1,457億円)

公式HPより

クリーンプラネットは、「Quantum Hydrogen Energy(量子水素エネルギー)」を開発する会社です。

水素は都市ガスの10,000倍以上の発熱密度を有し、燃やしてもCO2が出ないクリーンなエネルギーとして注目が集まっています。

そこで同社は安価に入手できるニッケルと銅を使用したナノスケール金属複合材料を活用した水素生成の社会実装を目指しています。

Spiber(評価額:1,457億円)

公式HPより

Spiberは、独自の微生物発酵(ブリューイング)プロセスで化石燃料に頼ることなく植物由来のサステナブルタンパク質素材「ブリュード・プロテイン™」を製造するユニコーン企業です。

様々な使い方ができるため、フィラメント糸、カシミヤ、アニマルフリーレザー、樹脂材料などの代替素材として活用されています。

TBM(評価額:1,339億円)

公式HPより

TBMは、炭酸カルシウムなど無機物を50%以上含む無機フィラー分散系の複合素材「LIMEX(ライメックス)」を製造する会社です。

地球上に無尽蔵にある石灰石からプラスチック・紙の代替となるサステナブルな素材として注目を集めています。

世界40か国で特許登録済みで、COPやG20などの国際会議でも紹介されています。

Mobility Technologies(評価額:1,244億円)

公式HPより

Mobility Technologiesは、タクシー配車アプリ「GO」を提供するベンチャー企業です。

その他にも以下のサービスを提供しています。

  1. 法人向けのタクシー利用管理・請求払いサービス
  2. タクシーフードデリバリーアプリ
  3. ドライブレコーダーから危険シーンをAIで自動検知する交通事故削減支援サービス
  4. タクシーサイネージメディア

アストロスケール(評価額:1,161億円)

公式HP

アストロスケールは、サステナブルな宇宙環境の実現のためにスペースデブリ(宇宙ゴミ)除去するベンチャー企業です。

その他にも、衛星運用終了後のデブリ化防止、燃料枯渇後の継続運用や故障機や物体の状態観測をするサービスも提供しています。

HIROTSUバイオサイエンス(評価額:1,042億円)

公式HPより

HIROTSUバイオサイエンスは、尿一滴で精度86%のがん検査が可能な「N-NOSE(エヌノーズ)」を提供するベンチャー企業です。

嗅覚に優れた生物“線虫”が尿に含まれるがんの匂いを検知し、全身網羅的にがんのリスクを判定します。

国立がん研究センターの2020年データによれば、日本人の男性は4人に1人、女性は6人に1人ががんでなくなっています。

 

がん治療は早期発見・早期治療開始が重要であり、この技術は日本人の死亡率を減少させる可能性をもっています。

やはり日本が強みを持つものづくりやエネルギー・バイオ等の研究開発企業がランクインしているもの特徴的ですね

日本にユニコーン企業が少ない理由

日本のユニコーン企業の事業概要を理解できたと思いますが、まだまだその数が少ないのは大きな課題といえます。

日本にユニコーン企業数が少ない理由としては

  1. 起業家を目指す人材・教育の不足
  2. リスクマネーへの投資額の少なさ
  3. 大企業による人材の抱え込み・雇用の流動性が低い
  4. ストックオプション・大企業によるM&Aなどベンチャーに関わる税制上の課題

などが挙げられます。日本は海外に比べてリスクを恐れる傾向にあり、起業家に出会う機会も少ないため、起業自体がそもそも選択肢に入らないことが大きな要因と言えます。

また、起業しても様々なお金の問題に直面してしまうのが課題であり、起業家の絶対数が少ないために、当然ユニコーン企業数も増えないという状況です。

日本政府が掲げるスタートアップ育成5か年計画

そんな状況を打破するために日本政府は「スタートアップ育成5か年計画」を作り、具体的な目標と支援策について語っています。

まず、スタートアップ5か年計画の目標については以下の通りです。

目標①:
スタートアップ企業への投資額を2027年度に10兆円とする(2021年段階では約8,000億円)

目標②:
ユニコーン企業100社創出、スタートアップ企業10万社創出

引用:スタートアップ育成5か年計画(内閣官房)

この目標を達成するために、政府は3つの柱で支援を表明しています。

引用:スタートアップ育成に向けた政府の取り組~スタートアップの力で社会課題解決と経済成長を加速する~ (経産省資料より:リンク

人材・ネットワークの構築

スタートアップ支援はやはり「人」が重要であるため、産業界のトップランナーが若手起業家を指導するプログラムや、シリコンバレーに起業家を派遣して成長機会を作るプログラム、海外起業家や投資家の誘致などが書かれています。

また、最近では大学に起業家を招いて、起業というものを身近なものに感じてもらいながら将来の選択肢に『起業』を意識してもらう活動も広がっています。

資金供給の強化と出口戦略の多様化

スタートアップ支援にはやはり「資金」が重要であるため、国の機関によるスタートアップ企業への出資機能の強化、研究開発費用の支援、税制優遇による個人投資家のベンチャー投資促進、経営者の個人保証のあり方の見直し、スタートアップからの公共調達のあり方の見直し、海外マネーの獲得促進などの支援策を用意しています。

オープンイノベーションの促進

資金力のある大企業とスタートアップ企業の効果的な連携を促すために、大企業がスタートアップ企業をM&A/業務提携して成長を加速させるための税制優遇、終身雇用や副業禁止といった雇用制度を見直してスタートアップ企業に優秀な人材が集まるようにするといった支援を用意しています。

まとめ

ここまでの内容とまとめると、本記事では、

  • ユニコーン企業とは10億ドル以上の企業であること
  • 世界には1207のユニコーン企業が存在し、1位アメリカ:655社、2位中国:168社、3位インド:71社であること
  • 業種別集計ではフィンテック企業数が多いこと
  • 世界TOP30のユニコーン企業と日本のユニコーン企業の事業概要
  • 日本のスタートアップの課題と今後の育成計画

について解説しました。

当サイトでは、様々なキーワードでベンチャー企業/新しいサービスを紹介しているので、ぜひ他のキーワードもチェックして、次なるユニコーン企業を探してみてください。

以上

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