昨今、政府がベンチャー・スタートアップ支援に注力するなど、今後スタートアップ企業によるイノベーションの加速が期待されています。
しかし、次々に誕生する企業・サービスを調査しきれないという方もいるのではないでしょうか。
そこで、当サイトでは様々なキーワードでスタートアップ企業を無料で紹介しており、本記事では、
- スタートアップ企業の事例・動向調査したい方
- 日本が強みをもつ「ものづくり」の領域のベンチャーを調査したい方
を対象に、『ものづくり』をキーワードとして企業名と事業概要をまとめています。
その他にも様々なキーワードで面白い企業・サービスを紹介しているので、ぜひ他のキーワードもチェックしてみてください。
日本の製造業の現状とものづくりベンチャーへの期待
中国・アジアの台頭と国内市場の縮小
近年、日本の製造業は中国の台頭やアジアを中心とする新興国との競争激化、少子高齢化による国内市場の縮小など、大きな課題に直面しており、世界の製造業のリーダーとしての地位が低下しています。
ベンチャー企業への期待
その地位を取り戻すために、 ベンチャー企業の新しいアイデアや技術が業界の活性化と競争力の向上に役立つことが期待され、 政府は起業家が製造業を開始するための資金提供プログラムを多く確立しました。
(経済産業省のスタートアップ支援策一覧はこちら→リンク)
スタートアップ企業と大企業がファブレスと製造受託という形で連携
スタートアップ企業への支援は政府のみならず、大企業も多くのプログラムを提供しています。その中でも、スタートアップ企業は工場を持たないファブレスメーカーとして先進的な技術とアイデアで製品を開発し、大企業はこれまで培った高い品質で安定的に製造する能力を生かして製品を量産するというファブレスと製造受託という形での連携も目立ってきています。
モノづくりベンチャーの特徴
日本のものづくりベンチャーは先進的なビジネスモデル、人工知能 (AI) やIoTなどのテクノロジーを組み込んだ革新的な新製品開発や、製品の低エネルギー化や再生可能エネルギーの促進など環境面を意識した製品開発をしているのが特徴です。
さて、ここからは日本の製造業を復活させるものづくりベンチャーを紹介していきます。
ものづくりベンチャー企業一覧20選
SkyDrive
SkyDriveは、2025年の事業開始に向けて二人乗りの空飛ぶクルマを開発するベンチャー企業です。
空飛ぶクルマとは、eVTOL(電動式垂直離着陸機)の通称であり、平たく言えばヘリコプターの電動化により部品点数を減らして安価にしたものです。
今後は街中の駐車場の一角に空飛ぶクルマのポートが設置されて、タクシー程度の料金で気軽に空の移動が楽しめる社会を目指しています。
また、Skydriveは上述した大企業と連携したものづくりにも取り組んでおり、車メーカーのSUZUKIと資本提携を結んでいます。
この提携では、Skydriveが開発し、SUZUKIが量産技術の提供やインド市場への展開を推進するという役割分担となっています。
この連携によって空飛ぶクルマの実現・国内外への普及拡大が進めば、両者の提携は日本の製造業復活に向けたモデルケースとなるでしょう。
ACSL
ACSLは、インドや米国市場にも進出している国産ドローンのファブレスメーカーであり、ドローン専業企業で唯一上場を達成した千葉大学発ベンチャー企業です。
ドローンはDJI@中国が中小型汎用機体市場において世界シェア7割以上と言われる中で、ACSLは中大型の物流・点検・災害用の産業機や屋内飛行用の小型産業機で差別化を図ってきました。
しかし、昨今の米中セキュリティ関連の対立を好機とみて、2021年にセキュアな小型空撮ドローン「SOTEN(蒼天)」の量産に成功し、ASCL Indiaを立ち上げてインド市場の開拓にも乗り出しています。
この「SOTEN(蒼天)」に関しても、ACSLとヤマハ発動機が連携して開発・製造したものでありスタートアップ企業と大企業の連携は進んできていると言えます。
キャディ
キャディは、全国の部品加工会社と連携し、ワンストップで加工品製造サービスを提供しています。
日本の部品加工会社は技術力は高いものの、営業力は弱いため一定の発注先に依存しているのが実情です。
そこでキャディは、自動見積機能を備えたプラットフォームを立ち上げて、ファブレスメーカー的な立ち位置で品質保証をした上で部品を提供しています。
これにより部品加工会社は営業や見積作成をすることなく新規顧客への納品が可能となり、本業に集中してさらに技術力を高めることができます。
発注側も取引先を分散させることで、繁忙期や倒産時にも部品途絶リスクを減少することができます。
TRIPLE-1
TRIPLE-1は、時代の最先端プロセスを採用したASIC(半導体集積回路)を開発するユニコーン企業です。
最先端7nmプロセスを採用したBitcoinマイニング用ASICと5nmプロセスを採用したディープラーニング向けのAIプロセッサの開発に成功しています。
A.L.I.Technologies
A.L.I.Technologiesは、BigBossこと日本ハムの新庄監督が2022年シーズンの開幕戦セレモニーで乗った空飛ぶバイク「XTURISMO」を開発する企業です。
ドローン関連のテクノロジーに強い会社で、国産のオリジナルドローン開発や、インフラ構造物の錆やひび割れを画像解析で検出するなどの技術に優れる企業です。
その他のエアモビリティ(空飛ぶクルマ/ドローン)企業に興味のある方はこちらをご覧ください(リンク)
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Zip Infrastructure
Zip Infrastructureは、都市の移動をスムーズにする次世代交通機関『自走式ロープウェイZippar』を開発しています。
デッドスペースとなっている道路上の空間に着目し、カーブが自由自在で、自動運転可能な自走式ロープウェイの街中への社会実装を目指しています。
その他の移動革命を起こすMaaS業に興味のある方はこちらをご覧ください(リンク)
AquaFusion
AquaFusionは、水中超音波技術を活用して従来と比べ100倍の分解能を実現した魚群探知機を開発する企業です。
水の中が手に取るように把握できるために、無駄な漁をせずに済み、狙った魚を捕獲することができます。
また、むやみに魚を取ることがなくなり、生態系にもいい影響を与えてくれます。
Polyuse
ここまでの企業は従来の施工を効率化することに重点を置いていましたが、Polyuseは建設用3Dプリンターでの建築という新たな着想を持つ建設テック企業です。
同社は建設用3Dプリンターを使って家を建築し、すでに建築基準法を家を建てる事に成功しています。
この技術を使えば、わずか300万円で家が建ち、工期を5分の1に短縮することができます。この技術が発展していけば今後は頻繁に家を住み替える、建て替えるといった時代が来るかもしれません。
また、この技術には建築技術が発展していない国からも熱視線を浴びており、リベリアの駐日大使も視察に訪れ「自国での活用方法を検討したい」と発言しています。
リベリアでは多くの市民が粘土を使った住居に暮らしており、5年から10年ほどで崩れてしまうそうです。この技術はそうした国々の人に安価で頑丈な家を提供して、生活の質を上げてくれる可能性を秘めています。
Nature Architects
Nature Architectsは、メタマテリアルを活用して振動・熱伝導・変形・軽量化などの様々な物理的機能を製品に組み込む形状設計ソリューションを提供する企業です。
メタマテリアルとは、幾何学構造など人工的に設計されたモノを指し、金属加工などの従来製造手法では不可能だった硬い部材に振動吸収機能を付与することが可能です。
フレームや稼働部など部位ごとに必要な様々な機能を部品に分けて、ボルトでつなぎ合わせるようなことをせずに一体で設計・製造することが可能になります。
その他のエネルギー関係企業に興味のある方はこちらをご覧ください(リンク)
アルバトロス・テクノロジー
アルバトロス・テクノロジーは、浮体式洋上風力をはじめとする潮流・海流タービン、波力タービンなどの再生エネルギーの発電設備を開発する企業です。
従来の洋上風力は固定式でしたが、海に浮かぶ形の「浮体式」を開発しており、風を受ける軸部分もプロペラ方式ではなく縦軸型を採用しています。
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チャレナジー
チャレナジーは、プロペラのない次世代風力発電機「垂直軸型マグナス式風力発電機」を開発する企業です。
従来のプロペラ方式では風の強さだけでなく風の向きにも発電力が左右されてしまいますが、次世代型風直発電機ならどの風の向きでも発電が可能です。
また、木の葉や小枝が動くほどの風から台風のような強風でも安定的に電力を生み出すことが可能で、70m/sの風にも耐えられるように設定されています。
Eサーモジェンテック
Eサーモジェンテックは、半導体事業の経験を生かした、低温排熱から効率よく電気を回収する独自の熱電発電技術を搭載した熱電モジュール「フレキーナ」を提供しています。
フレキーナは、プラントやインフラの排熱パイプに密着装着するだけで、今まで捨ててただけの熱源から電気を生み出すことができる発電モジュールです。
アスター
アスターは、独自の積層技術で開発したコイルを使った高性能モーターを製造する企業です。
従来のワイヤでのモーターの場合、占積率50%前後(隙間が多い)のに対して、積層構造に変えることで占積率90%を実現し、高密度化・抵抗値低減・放熱性向上を達成しました。
従来の4kwモーターと比較した時に2倍の出力密度を出すことに成功し、小型化・軽量化も実現しています。
CONNEXX SYSTEMS
CONNEXX SYSTEMSは、次世代型蓄電システムの開発・製造・販売をする企業です。
産業用・家庭用蓄電システムや急速充放電専用電池を製品化しており、鉄と空気を融合した全個体蓄電池などの開発にも取り組んでいます。
スリーダムアライアンス
スリーダムアライアンスは、独自の3DOMセパレータ技術を強みに次世代電池を開発するベンチャー企業です。
モーター・燃料電池の要素技術も開発し、移動体の電動化と交通/エネルギー/生活インフラにおけるエネルギーの最適化を目指しています。
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FLOSFIA
FLOSFIAは、ミストドライ®成膜技術を基礎技術として、電力変換に用いられる半導体デバイスを開発する京都大学発ベンチャーです。
電気が発電所から家庭に届くまでの電力変換における電力損失は、発電量の10%超を占めると言われ、社会課題となっています。
そこで同社は酸化ガリウム(Ga2O3)に着目し、新しい「GaO®パワーデバイス」を開発しており、従来のシリコン(Si)やシリコンカーバイド(SiC)と比較して、それぞれ1/3400、1/10もの低損失化が期待できます。
エネコートテクノロジーズ
エネコートテクノロジーズは、軽くて薄くて曲げられる次世代の太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」を開発する企業です。
この特性を生かして、テント・カーテン・ドローンなど今まで不可能だった場所に張り付けて発電できる他、従来の2倍の発電効率を実現します。
日本は国土が狭く太陽光パネルを設置できる箇所が限られており、頭打ちだった太陽光発電に新たな可能性を感じさせる技術です。
MIRAI-LABO
MIRAI-LABOは、日本においては太陽光の設置に適した場所には限りがあり、その問題を解決すべく、道路に設置できる太陽光発電パネル「Solar Mobiway」を開発する企業です。
また、中古EVのバッテリーと太陽光パネルを街灯に取り付けて、昼間に貯めたエネルギーで夜道を照らすというバッテリーのリユース事業にも取り組んでいます。
メルティンMMI
メルティンMMIは、人間の生体信号から動作や意図を忠実に解析する「生体信号処理技術」と実空間に忠実に再現する「ロボット機構制御技術」を融合させた「サイボーグ技術」を持つ企業です。
この技術が社会実装されれば、あたかも自分の体であるかのように、機械やロボットを動かすことが可能です。
これにより高い技術を持った名医が移動することなく全世界で手術できるようになったり、崩落現場・放射能汚染地域・プラントの危険個所で人に代わり作業したり、重い荷物をロボットが運んでくれたりと、様々な分野での活用が見込まれています。
cocoa motors.
cocoa motors.は、スケボーをパソコン程度の大きさに小さくした電動モビリティ「WALKCAR」を提供するベンチャー企業です。
リュックに入れて持ち運ぶことが可能で公道も走れる、移動の概念を変える革新的なモビリティです。
この他にもBtoC向けのサービスに興味のある方はぜひこちらもご覧ください。
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まとめ
今回は、『ものづくり』をキーワードにベンチャー・スタートアップ企業を20社紹介しました。
かつて製造業大国として世界を席巻していましたが、今や中国に抜かれ新興国も猛烈な勢いで成長してきています。
この記事で紹介した会社含めて日本にはものづくりベンチャーは多数存在しており、新しい技術と発想で日本の製造業がかつての輝きを取り戻してくれる日も近いでしょう。
日本には他にも多くの魅力的なベンチャーが日々新しいサービスを打ち出しているので、ぜひ他のキーワードでも面白いベンチャーを探してみてください。
以上